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孤独なんて埋まるはずのない箱庭で

グリッドマン10話を見てツイッターにつらつらと書き連ねたものを、加筆修正して上げておく。


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アカネが作った世界というのはSNSそのものだからね。好きな人や好きなものだけ囲い込んで、嫌いな者はボタンひとつで排除できる世界。いなかったことにできる世界。


だけど孤独なんて少しも癒されない世界。人は沢山いるのに、寂しさはちっとも埋まらない世界。


だって、そこは相互に消費し合うだけの世界だから。ツイッターなんてその最たるものだ。タイムラインをザーッと流して、他者を消費して、自分も同じように消費されて。気に入ったらイイねを付けるけれど、その程度。寂しさなんて埋まるはずがない。


フォローしている人をボタンひとつで組み替えて、小さく狭い箱庭世界を作って神様を気取ったって、リアルな自分は惨めなままだ。


現実世界で孤独や孤高を決め込んだっていいんですよ。自分が本当に望むのなら。或いは覚悟を決めて進むのなら。けれど、現実世界で自分は孤独でいいなんて拗ねて、自分を騙して、自ら人から離れていって、けれど実際は寂しくて、SNSの世界で中途半端に繋がりを求めたりする。孤独なんて絶対に埋められない場所に、それと知らず救いを求めたりする。


困ったことに、されどそこに箱庭は作れてしまう。ピースを組み替えるように好きなものだけ組み込んで、それで神様気取りができてしまう。そんなことをしたって、現実の自分は惨めなままだと言うのに。


そんな風に箱庭を作って閉じ篭ってしまったアカネに現実世界から本気で手を差し伸べようとしているのが、絢に集まっている人たちなんではなかろうか。(アカネの箱庭の六花はアカネに作られたアバターであり、アカネを好きになるように設定されているけれど、だからこそ、アカネを救うために袂を分かつことを選んだ。と考えると辻褄が合う気がする。そして勿論、現実の六花もアカネのことを友達として気遣っている)


なんてことをツイッターに書き込みながら、俺自身も虚しさや孤独を深めていくわけですが。ここはただ消費し、消費されるだけの場所だから。言葉も、そこに込められた思いも、一瞬で流れ去る虚しい場所でもあるから。こんなところでいくらがなり立てたって、誰も振り向いてくれやしないよ。


だから、それが自覚できない人は踏み込んじゃいけない場所だ。


でないと、アカネになってしまう。


寂しさなんて埋めようのない場所で、呼びかけても誰も振り向いてくれない箱庭で、その寂しさはやがて他者への悪意に変わる。憎悪と言ってもいいか。そこをアレクシスに付け込まれる。他者への悪意や憎悪を果てしなく募らせていく。自分が寂しくて惨めなのはお前らのせいだと。その先に何があるかは分かるよね?


悪意を撒き散らしながら、奈落の底へと果てしなく落ちていく。


そうなったら、自分ではなすすべがない。自分の力では自分を救うことはできない。けれど、必ず、手を差し伸べようとしている人はいる。世界はそう捨てたモノじゃない。


けれど、アカネはそれに気づくことができなかった。アンチの手を振り払った。グリッドマンをこれまで通り敵だとしか認識できなかった。勿論、グリッドマン勢は実際にはまだアカネに手を差し伸べる前であり、怪獣を倒すという敵対行動しか取っていなかったわけだが。だから、悪意のままに裕太を刺した。自分を救うために立ち上がってくれるはずだった人を刺してしまった。


というところで、11話へ。


by redjammer | 2018-12-09 22:10 | 2018年秋アニメ

言葉の倉庫。そこにあるもの。


by RM